はじめに
FDM式3Dプリンタでねじ穴を含むデザインを造形する際、積層跡の凹凸や樹脂の変形などにより設計通りの穴径は実現できないものである。そこでいくつかのM3、M4ねじの通し穴とタップ下穴を実現するための設計上の穴径を実験的に求めた。
実験環境は以下の通りである。
| 3Dプリンタ | FlashForge Inventor |
| 材料 | ABS (黒) |
| ヘッド温度 | 220℃ |
| プラットフォーム温度 | 105℃ |
| ヘッド横の冷却ファン | ON |
| 解像度 | 標準 (積層ピッチ0.18mm) |
| スケール | 101% (収縮分を見越して大きめに印刷する) |
実験方法
下図のような様々な径の穴を含むサンプルを造形してねじが通るか、またはタップでねじを切れるか確かめる。図の向きのように積層方向と平行な穴を開けた場合と90度回転させて造形し積層方向に直交した穴を開けた場合について実験した。
![]() |
| 造形サンプル |
| 呼び径 / 種類 | 穴径(mm) | ||||
|---|---|---|---|---|---|
| M2 / 通し穴 | 2.1 | 2.2 | 2.3 | 2.4 | 2.5 |
| M3 / タップ下穴 | 2.5 | 2.6 | 2.7 | 2.8 | |
| M2 / 通し穴 | 3.2 | 3.3 | 3.4 | 3.5 | 3.6 |
| M4 / タップ下穴 | 3.3 | 3.4 | 3.5 | 3.6 | 3.7 |
| M4 / 通し穴 | 4.2 | 4.3 | 4.4 | 4.5 | 4.6 |
結果
通し穴に関しては積層方向と平行な穴はドリルで開ける穴より0.1~0.2mmほど大きめに作らねばならないことが分かった。一方、直交しているならドリルで開ける穴と同じような径で十分であった。
| 呼び径 | 穴の向き, 穴径(mm) | |
|---|---|---|
| 平行 : きつい/ゆるい | 直交 | |
| M2 | 2.3 / 2.4 | 2.2 |
| M3 | 3.4 / 3.5 | 3.2 |
| M4 | 4.3 / 4.4 | 4.2 |
タップ下穴の径は、どのみちタップで穴が広がるので既定の大きさで良いことが分かった。
| 呼び径 | 造形方向, 穴径(mm) | |
|---|---|---|
| 平行 | 直交 | |
| M3 | 2.5 | 2.5 |
| M4 | 3.3 | 3.3 |

0 件のコメント :
コメントを投稿